膀胱がん内視鏡切除術を行うときにがんを見つけやすくする検査方法として、2つの特定波長の光でがん周囲の血管を見やすくする狭帯域光観察(narrow band imaging:NBI)という方法と、特定波長の光(青色)を当ててがん細胞を赤く光らせる光力学診断(photodynamic diagnosis:PDD)が日本泌尿器科学会により推奨され、日常診療に利用可能になっています。
NBI(narrow band imaging)
がんは血管の新生が強く、膀胱がんも周りに細い血管が豊富に見られます。NBIは血液中のヘモグロビンに吸収される特定の2つの波長の光を当てて、血管を強調して細かな変化を表示する技術です。その結果、特定の薬剤を用いなくてもがんの位置などが推定できるため、通常の光の観察では見えにくい小さながんが発見しやすくなります。
光力学診断(PDD)
PDD とは、がん細胞がある条件下で特有の物質を蓄積する性質を利用して特定の波長の光を照射することで、がん細胞だけが赤い蛍光を発するという現象を応用した技術で、正常組織とがん病変を容易に見分けられるようになります。これにより高い精度でがんを見つけることができる診断法です(図4)。通常の光での観察では見えにくい小さながんや平坦ながんが観察でき、同時に内視鏡下に切除できる画期的な技術で、日本泌尿器科学会のガイドラインでその活用が強く推奨されています。
PDDは新しく開発された技術であり、専用の内視鏡システムを有する医療機関でないと実施できません。また、患者さんが現在服用されている薬や併発疾患や既往歴・合併症などによっては、PDDが実施できない場合があります。
(大阪暁明館病院名誉院長/奈良県立医科大学名誉教授 平尾佳彦先生監修)