アラグリオは、令和2年度の診療報酬改定により4月1日から包括評価に組み込まれることとなり、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)に関する新しい分岐(枝番号)が出来ました。
また、令和4年度診療報酬改定により、TURBTに関する診断群分類(DPC)電子点数や手術手技料が改定されました。
アラグリオを用いたTURBTの手技・注意点等
本編 (視聴時間:6分46秒)
1.切除マージンの決定
2.接線効果
3.ブリーチング
4.クリアな蛍光観察のためのポイント
5.その他注意事項
インタビュー (視聴時間:4分50秒)
高知大学医学部泌尿器科学講座および
光線医療センター
助教 福原 秀雄 先生
1.ALA-PDDで意識することは (0分7秒)
2.偽陽性や接線効果の見分け方 (1分6秒)
3a.ALA-PDD実施で治療方法が変更になった
事例(1分47秒)
3b.ALA-PDD実施でステージが変更になった
事例 (2分26秒)
4.光線過敏症への対策 (2分55秒)
5.重篤な低血圧への対策 (3分23秒)
6.Aladuck405のご感想 (4分09秒)
インタビュー (視聴時間:5分01秒)
高知大学医学部泌尿器科学講座および
光線医療センター
教授 井上 啓史 先生
(光線医療センター センター長)
1.ALA-PDDの有用性は (0分7秒)
2.病変が蛍光しない原因 (0分51秒)
3.NBIとの違いや特徴 (1分50秒)
4.膀胱癌治療への影響 (3分13秒)
5.光線医療への取り組み (3分53秒)
アラグリオ顆粒剤分包1.5g(一般名:アミノレブリン酸塩酸塩)は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)時における筋層非浸潤性膀胱癌の可視化のために用いられる光線力学診断(PDD)用剤です。
本剤の主成分は生体内物質であるアミノレブリン酸の塩酸塩で、アミノレブリン酸は、ヒトも含めた動植物の生体内に含まれるアミノ酸の一種です。[1]
【引用】
[1] アラグリオ ®顆粒剤分包 1.5g インタビューフォーム(第9版)
1ページ「Ⅰ.概要に関する項目」の項
有効成分であるアミノレブリン酸塩酸塩は、生物界に広く存在している生体内物質のアミノレブリン酸の塩酸塩であり、正常細胞内においてはプロトポルフィリンⅨ(PPⅨ:Protoporphyrin Ⅸ)を経て、最終的にヘムに変換されます。
一方、悪性腫瘍細胞では、正常細胞に比べて PPⅨからヘムに変換するための酵素活性が低いため、悪性腫瘍細胞内では PPⅨが多量に蓄積します。この PPⅨは、青色光(400~410nm)で励起されると赤色蛍光を発することが知られています。
このため、本剤を経口投与し、膀胱内に青色光を照射することで膀胱内の腫瘍病変が赤色蛍光を発し、視認性を高めることができるため、診断精度の向上が期待できます。[1]
【引用】
[1] アラグリオ ®顆粒剤分包 1.5g インタビューフォーム(第9版)
1ページ「Ⅰ.概要に関する項目」の項
膀胱癌診療ガイドライン 2019 年版[1]では、本剤を用いた腫瘍可視化技術(photodynamic diagnosis:PDD)について、以下のように規定されています。
CQ4: 筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)の治療の際にPDD や NBI は推奨されるか?
Answer
PDD は膀胱再発率の低下につながることから推奨される(推奨の強さ 1,エビデンスの確実性 A)。NBI は癌検出率を改善させるが,膀胱再発率の低下につながるかは未確定である(推奨の強さ 2,エビデンスの確実性 B)。
一方、膀胱がんの診断用途でのPDDにつきましては以下のように規定されておりますが、この用途は適応外使用となることにご留意ください。
CQ1: 膀胱癌の診断に腫瘍可視化技術(photodynamic diagnosis:PDD,narrow band imaging:NBI)は推奨されるか?
Answer
膀胱癌の診断において,腫瘍可視化技術を用いることは,癌検出感度が改善されることから推奨される(PDD:推奨の強さ 1,エビデンスの確実性 A;NBI:推奨の強さ 1,エビデンスの確実性 B)。
【引用】
[1] 膀胱癌診療ガイドライン 2019 年版
上皮内がん(CIS)、微小病変など通常の白色光では視認することが難しい病変の検出に有用だと考えられています[1]。
本剤を用いた腫瘍可視化技術により、通常の白色光下では54.1%であった腫瘍検出の感度※が79.6%にまで向上することが判明しています。[2]
また、膀胱癌診療ガイドライン 2019 年版において、CQ4: 筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)の治療の際にPDD や NBI は推奨されるか?とのクリニカルクエスチョンに対して、本剤を用いた腫瘍可視化技術は膀胱再発率の低下につながることから、「推奨の強さ 1,エビデンスの確実性 A」として推奨されています。[3]
※病理診断で腫瘍ありとされた生検組織検体のうち、各光源下における観察で腫瘍ありとされた生検組織検体の割合
【引用】
[1] Int J Urol. 2018 Aug;25(8):723-729.
[2]アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 添付文書(第1版)
[3] 膀胱癌診療ガイドライン 2019 年版
2022年12月現在、実施施設として弊社ウェブサイトへの施設名掲載に同意いただいた施設がおよそ130件となっています。うち20件強が国立大学の附属病院ですが、順次市中病院に拡大している状況です。[1]
【引用】
[1] 弊社ウェブサイト:病院検索
アラグリオ顆粒剤分包1.5gは、令和2年度の診療報酬改定により包括評価に組み込まれることとなり、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)に関する新しい分岐(枝番号)が出来ました。
また、令和4年度診療報酬改定により、TURBTに関する診断群分類(DPC)電子点数や手術手技料が改定されました。
詳しくは下記のページをご参照下さい。DPC概算点数計算用ファイルもダウンロード頂けます。
弊社ウェブサイト:診療報酬改定について
青色の励起光を照射できる光源が必要です。
2022年1月現在市販されている青色励起光が照射できる機器は、当社(SBIファーマ)+数社より販売されております(当社製品、例:Aladuck 405)。
医療関係者様問合せフォームより個別にお問合せください。
光線過敏が症状の一つであるポルフィリン症の患者さんには禁忌とされていますが、その他の光線過敏症の患者さんについては十分な情報がございません。[1]
【引用】
[1]アラグリオ®顆粒剤分包 1.5g インタビューフォーム(第9版)
29ページ「Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目」の項
光線過敏症を起こすことが知られている薬剤・食品をご案内します。[1]
テトラサイクリン系抗生物質
スルフォンアミド系製剤
ニューキノロン系抗菌剤等
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
【引用】
[1]アラグリオ®顆粒剤分包 1.5g インタビューフォーム(第9版)
32ページ「Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目」の項
アラグリオ顆粒剤分包1.5gは「室温保存」の薬剤です。室温保存以外の条件で保存した薬剤の使用は推奨しておりません。医療関係者の裁量と責任のもとご判断ください。
有効成分の安定性データをご案内します。
苛酷試験において、25℃、総照度120万lx・h以上及び総近紫外放射エネルギー200W・h/m2以上で保存した結果は下記のとおりでした。
・曝光条件
類縁物質の増加を認めました。
・遮光条件
類縁物質の増加傾向を認めましたが、増加量(%)は曝光条件での 1/4 程度でした。
※試験項目:性状、溶状、乾燥減量、含量、類縁物質
製剤の安定性データは以下のとおりです。
アラグリオ®顆粒剤分包 1.5g インタビューフォーム(第9版)
6ページ「Ⅲ. 2.有効成分の各種条件下における安定性」の項
本剤を蒸留水で溶解した3%水溶液を、昼間散光下、15℃から25℃で、共栓付き三角フラスコ(無色ガラス製)にて、24時間保存し、溶状(色及び澄明性)、pH、類縁物質、含量を検討しました。その結果、変化は認められませんでした。
本剤1包は水50mLを加えて溶解後、24時間以内に使用してください。24時間を過ぎた溶解液は廃棄してください。
アラグリオ®顆粒剤分包 1.5g インタビューフォーム(第9版)
8ページ「IV. 5.調製法及び溶解後の安定性」の項
36ページ「Ⅷ. 11. 適用上の注意」の項
添付文書上、特に水について指定はしておりません。[1]
【引用】
[1] アラグリオ®顆粒剤分包 1.5g 添付文書(第1版)
本剤1包を適切な容器に取り、水50mLを加えて溶解し、アミノレブリン酸塩酸塩20mg/kgから計算した投与液量をはかり取り、経口投与してください。
投与液量詳細につきましては、適正使用ガイド中「投与液量計算表」をご参照ください[1]。
【引用】
[1] アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 適正使用ガイド
水以外との配合による変化や代謝等への影響は検証しておりませんので水以外はお勧めしません。一方で、オレンジジュースやブドウ糖液に溶解し、経口投与している報告もあります。[1],[2]※
また、ブドウ糖液に溶解後、炭酸水素ナトリウム(重曹)で溶液のpHを調整しているという報告もあります。[3]
※文献(1)は30mg/kg又は60mg/kgをオレンジジュース5~10mLに溶解し経口投与していますが、承認された用法・用量と異なりますので注意して下さい。
【引用】
[1] Gut. 1995 Jan;36(1):67-75.
[2] 日本臨床 2010 Dec; 68-増刊号10:375-382
[3] Inoue, K et al. : Cancer 2012 : 118(4), 1062-1074
可能です。
一方で、過去のTURBTから6週間以内は切傷や炎症による偽陽性の影響があると報告されている[1]ことにご留意ください。
なお、セカンドTURBTの診療報酬請求の可否につきましては、個別に審査支払機関にお問合せください。
【引用】
[1] Eur Urol. 2003 Jul;44(1):51-6.
以下のような可能性が考えられます。
・腫瘍細胞の表面が壊死している可能性
・青色光の組織への透過は高くないため、正常細胞の直下に入り込んでしまうようなCISに対して、青色光が透過できず、赤色蛍光が検出できない可能性
・本剤を投与してから膀胱鏡挿入までの時間が早いため、5-ALAからPpIXに代謝しきれず、見えない、見えにくい可能性
ループ電極による切除などにより病変が熱変性すると蛍光物質プロトポルフィリンIXも失活し、光らなくなってしまいますので、切除したあとの断面は光らないと考えています。また、筋層に浸潤したがん細胞が蛍光を発する可能性はあります[1]が、青色光の組織への透過は高くない(ブタ胃粘膜での140 mW/cm2青色光の深達度は0.26mmにとどまる[2])ことが知られており、切除する前の状態で筋層中のがん細胞の蛍光を視認することは難しいと考えられます。
【引用】
[1]埼玉医科大学雑誌 第 41 巻第 1 号 平成 26 年 8 月
[2]J Biomed Opt. 2020 Mar;25(6):1-13.
Yamamotoらにより、投与後2-3時間での観察と、3-4時間での観察を比較した報告があります。その中では、後者の方が良好な感度、及び良好な患者あたりのCIS発見率を示す傾向にありました。[1]
また、膀胱がんを発生させた動物モデルを使用した試験では、組織1グラムあたりのPpIX量は経口投与後2時間よりも4時間の方が高いことが報告されています。[2]
【引用】
[1]Photodiagnosis Photodyn Ther. 2020 Dec;32:101999.
[2]Photodiagnosis Photodyn Ther. 2021 Apr 24;34:102309.
本剤投与後少なくとも48時間は、強い光(手術室の照明、直射日光又は明るい集中的な屋内光等)への眼及び皮膚の曝露を避け、照度500ルクス以下の室内で過ごさせてください。[1]
なお、9.7インチのタブレット端末は目から25cmの距離で40ルクス、24インチのLEDコンピュータースクリーンは25cmの距離で100ルクス以下であると言われています。[2]
【引用】
[1] アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 適正使用ガイド
[2] Transl Psychiatry. 2017 Jan; 7(1): e1017.
以下のような症状が認められます。
・日光のあたる部分の発疹やみずぶくれ
・日光の照射による過度の日焼け
・かゆみ
・皮膚の色素沈着
対処については、本剤には拮抗剤はありませんので、一般的な光線過敏症に対する治療を行ってください。
なお、光線過敏症の症例報告(処置や転帰等)につきましては、「アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 副作用発現状況について Vol.4」をご参照下さい。[1]
当該資材に市販後の副作用発現状況をまとめております。
いずれの症例も自然軽快又は対症療法後に比較的速やかに回復・軽快しておりましたが、本剤投与に際しては、以下の点に十分ご留意ください。
・添付文書【重要な基本的注意】[2]でも注意喚起しておりますように、本剤投与後は少なくとも48時間は直射日光等の強い光への曝露を避けることの徹底をお願いします。
・患者さんへも、必ず同様のご指導をお願いします。
【引用】
[1]アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 副作用発現状況について Vol.4
[2]アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 添付文書(第1版)
2017 年12 月 19 日の発売日より2022 年12 月 31日までに当社で得た安全性情報によると、16例の報告(集計期間中の推定患者数は約25,937人)のうち、ほとんどが日焼け、発疹の症状にとどまっており、いずれも速やかに回復しております。また、 1 例 1 件の重篤な光線過敏症の報告がされております[1]が、この症例はアレルギー疾患を有する患者であり、掻痒感を訴えたものの速やかに回復しております。
膀胱癌患者を対象とした国内第III相試験(SPP2C101試験)及び国内第II/III相試験(ALA-BC-1試験)において、安全性を評価した本剤の承認された用量である20 mg/kg投与群の総症例98例中、1例(1.0%)で低血圧が認められました(承認時)。[1]
使用成績調査(全例調査)では安全性解析対象症例794例中で本剤との因果関係が否定できないとされた低血圧関連副作用の発現割合は2.4%(19/794例)で、このうち0.8%(6/794例)が重篤でした。転帰は、回復もしくは軽快と報告されております。[2]
【引用】
[1]アラグリオ®顆粒剤分包1.5g インタビューフォーム(第9版)
[2]アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 使用成績調査(全例調査)の結果について
現在、発現要因となるような共通因子を見出すことはできておりませんが、文献報告としては下記がございます。なお、「重篤」の定義が文献により異なることにご注意ください。
Miyakawa J. et al. Photodiagn Photodyn Ther 2021;33: 102179.
Fukuhara H. et al. BMC Cancer 2021;21: 1223.
心血管系疾患のある患者については、収縮期及び拡張期血圧、肺動脈圧並びに肺血管抵抗が低下するおそれがあるため、添付文書にて「特定の背景を有する患者に関する注意」と記載しております。[1]
高血圧等の循環器系疾患の合併患者さんでは、重篤な低血圧が発現するおそれがありますので、慎重に本剤の投与を行ってください。
また、Noharaらは全身麻酔とレニン-アンジオテンシン阻害薬の常用が低血圧リスクの上昇と関係すると報告しています。[2]
なお、別種のがん患者さんのものとして、降圧剤服用症例を低血圧リスクとした例や、低血圧発現予防として輸液投与した例があります。[3],[4]
【引用】
[1]アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 添付文書(第1版)
[2]Int J Urol. 2019 Nov;26(11):1064-1068.
[3]Photodiagnosis Photodyn Ther. 2013 Feb;10(1):39-41.
[4]Photodiagnosis Photodyn Ther. 2013 Dec;10(4):362-7.
2017年12月19日の発売日より2022年12月31日までに当社で得た安全性情報によると、主に麻酔導入後に低血圧症状が認められた症例(73.3%(44/60例))が報告されております。
麻酔導入後低血圧症状が認められた症例の内、特に麻酔導入直後から10分以内に発現した症例が68.4%(26/38例)と多く報告されております。麻酔導入後は連続して血圧を測定する等により、血圧の変動を確認し血圧低下が認められた場合には速やかに輸液、昇圧剤の投与等をご検討ください。
但し、麻酔導入前にも発現した症例や手術終了後にも発現した症例も報告されており、アラグリオ服用以降は注意が必要と考えております。本剤投与後は、患者様にふらつき等への注意および可能な限りベッドで安静に過ごしてもらうこと、また、ふらつき発現時は看護師等に連絡することをご指導ください。[1]
2017年12月19日の発売日より2022年12月31日までに当社で得た安全性情報によると、重篤4例 5件を含む131例 152件が報告されております。
多くは無処置で回復したとされる非重篤な症例でしたが、処置を必要とする症例も報告されておりますので、本剤投与に際しては、肝機能障害の発現にご留意いただきますようお願いします。
なお、肝機能障害の症例報告(処置や転帰等)につきましては、「アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 副作用発現状況について Vol.4」をご参照下さい。[1]
本剤投与により肝機能障害があらわれる可能性があるため、投与に際しては、投与前及び投与後に定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、適切な処置をお願いします。[1]
なお、肝機能障害の症例報告(処置や転帰等)につきましては、「アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 副作用発現状況について Vol.4」をご参照下さい。[2]
[1]アラグリオ®顆粒剤分包1.5g インタビューフォーム(第9版)
[2]アラグリオ®顆粒剤分包1.5g 副作用発現状況について Vol.4
【内用剤1.5g】
レセプト電算処理システムコード:
薬価基準収載医薬品コード:
HOTコード: