5-アミノレブリン酸とクエン酸第一鉄ナトリウムによる ミトコンドリア病治療法の開発に関する共同研究の成果を発表

SBI ファーマ株式会社
埼玉医科大学
千葉県こども病院
順天堂大学

 SBI ホールディングス株式会社の子会社である SBI ファーマ株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役執行役員社長:北尾吉孝、以下「SBI ファーマ」)は、埼玉医科大学、千葉県こども病院、順天堂大学とともに、共同研究成果を Nature Publishing Group の科学雑誌『Scientific Reports』に発表しました。
ミトコンドリア病は、体の中でエネルギーとなる ATP の産生が低下する疾患です。これは、遺伝子異常によりミトコンドリア呼吸鎖複合体と呼ばれるものの働きが低下することが原因です。しかしこれまでミトコンドリア病には根本的な治療法はなく、対症療法しかありませんでした。
5-アミノレブリン酸(※、以下「5-ALA」)は細胞内で代謝され、鉄と結合することでヘムになります。そして、ヘムはさらにミトコンドリア呼吸鎖複合体の一部となり、ATP 産生に貢献します。動物を対象として行われた実験では、ミトコンドリア機能を活性化させることなどが報告されており、5-ALA と鉄剤の組合せはミトコンドリア病の治療薬としてその効果が期待されていました。
今回の共同研究では、ミトコンドリア病と診断された患者の皮膚線維芽細胞を用いて、5-ALA と鉄剤(クエン酸第一鉄ナトリウム、以下「SFC」)の組合せによる効果を検証しました。その結果、ミトコンドリア呼吸鎖複合体や ATP 産生量などにおいて、有意な増加が起こること、すなわち、5-ALA と SFC がミトコンドリア病患者の皮膚線維芽細胞において、ミトコンドリア機能を改善させることを世界で初めて明らかにしました。
今回の研究結果は、ミトコンドリア病において、残存するミトコンドリア呼吸鎖酵素の働きを強化することでミトコンドリア機能を改善させる「酵素強化療法」、すなわち根本治療としての有用性を示唆するものです。現在、国内では本研究グループを中心にミトコンドリア病の一つである Leigh 脳症を中心として、5-ALA+SFC を治験薬として用いた医師主導治験(フェーズⅢ)が進行中であり、ミトコンドリア病の新しい治療薬として大いに期待されます。

(※)5-アミノレブリン酸(5-ALA)とは:体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸。ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与する機能分子の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。5-ALA は、焼酎粕や赤ワイン、高麗人参等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。

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