第70 回日本癌学会学術総会でのALAに関する研究発表のお知らせ③ ~ALAを用いた光線力学療法の感受性因子を特定~

SBIアラプロモ株式会社

 SBIホールディングス株式会社の子会社で 5-アミノレブリン酸(ALA)(※1)を利用した化粧品、健康食品、医薬品の研究・開発等を行っている SBI アラプロモ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員 CEO:北尾 吉孝、以下「SBI アラプロモ」)は東京工業大学、金沢大学、NPO 法人腹膜播種治療支援機構、理化学研究所との共同研究において ALA を用いた光線力学療法の感受性を左右する因子を特定いたしました。

 このたび、本研究結果を 2011 年 10 月 4 日に開催された第 70 回日本癌学会学術総会にて発表いたしましたのでお知らせいたします。

 ALA を用いたがんの光動力学的治療(ALA-PDT)(※2)は ALA を塗布、もしくは経口投与し、がん細胞に選択的に蓄積するプロトポルフィリン IX(PPIX)に光を照射し、発生する活性酸素により、がん細胞を選択的にアポトーシス(自滅)させる治療法で、侵襲性が低く傷跡が残らないことから欧米では皮膚がんなどで実用化されています。ALA-PDT はがん細胞の種類によりその効果に差が見られ、ALA-PDT の感受性を支配する因子について研究が進められてきました。

 今回の研究では、各種のがん細胞を ALA-PDT の感受性で分類し、ALA-PDT の感受性が PPIX の蓄積量に依存することを見出しました。各種のがん細胞株を調べたところ ALA を取り込むヒトオリゴペプチドトランスポーター(PEPT1)が高いほど PPIX 蓄積が高く PPIX を細胞外に排出する ABCG2 トランスポーターが高いほど PPIX の蓄積量が低いことが観察されました。さらに検討を重ね、PEPT1 発現が低い胃がん由来の KKLS 株に PEPT1 を遺伝子的に強制発現させると PPIX が蓄積し ALA-PDT の感受性は向上しました。さらに PEPT1 発現は高いが ABCG2 も高発現で ALA-PDT に抵抗性を示すヒト繊維肉腫由来の HT-1080 株に ABCG2 阻害剤である FumitremoginC を作用させたところ ALA-PDT 抵抗性が解除されました。

 今回の研究成果を受け、PEPT1 の発現を高める、あるいは ABCG2 を阻害する薬剤が ALA-PDT の感受性を高めることが期待されます。

 ALA-PDT の研究を進めることでがんと戦う多くの患者様のお役に立てるよう、一層努力してまいります。

 また、ALA の研究成果と最新情報は、ALAplus 研究所(URL:http://www.ala-plus.jp/)からも発信してまいります。

用語解説
※1 体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸。ヘムやチトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与するタンパク質の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。ALA は、焼酎粕や赤ワイン、かいわれ大根等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。

※2 光動力学的診断(PDD)、ALA を摂取し青い光を照射するとがんが赤く蛍光を示します。脳腫瘍の術中診断薬として弊社がドイツより導入を計画し現在第Ⅲ相試験中。光動力学的治療(PDT) ALA を塗布後、赤い光を照射して発生する活性酸素でがんを殺す手法。欧米では皮膚がんの治療として認可されており、傷跡を残さない美容上優れた治療法として注目されています。

以上

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本プレスリリースに関するお問い合わせ先:
SBI アラプロモ株式会社    経営企画部     03-6229-0095

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