第71回日本寄生虫学会でのALAに関する研究発表のお知らせ ~ALAに熱帯熱マラリア原虫の増殖阻害効果を発見~

SBIアラプロモ株式会社

 SBIホールディングス株式会社の子会社で 5-アミノレブリン酸(ALA)(※1)を利用した化粧品、健康食品、医薬品の研究・開発等を行っている SBI アラプロモ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員 CEO:北尾 吉孝、以下「SBI アラプロモ」)は東京大学との共同研究において天然のアミノ酸である ALA に熱帯熱マラリア原虫の増殖阻害効果があることを発見いたしました。

 このたび、本研究結果を 2011 年 10 月 1 日に開催された第 71 回日本寄生虫学会東日本支部大会にて発表いたしましたのでお知らせいたします。

 熱帯熱マラリアは、年間 3~5 億人が罹患し、150~270 万人が死亡していると言われる世界 3 大感染症の一つです。マラリアはハマダラ蚊を介して人に感染し、複雑な生活環を持つことが知られており、薬剤耐性原虫の発生が深刻な問題となっております。また、地球温暖化による汚染地域の拡大にも警句がならされております。

 今回の研究発表では ALA にマラリア原虫(P. falciparum)の増殖阻害効果を見出し、その増殖抑制効果が塩化鉄の同時投与で量依存的に増強されることを見出しました。さらに、この増殖抑制効果がマラリア原虫の生活環中リングステージ(※2)に特に有効であり、リングステージではヘム代謝(※3)の中間体がアピコプラスト(※4)に過剰蓄積していることも確認しております。

 これらの研究から ALA のマラリア原虫の増殖阻害効果は今まで知られているどの抗マラリア薬とも異なっている可能性が高いと考えられ、天然アミノ酸による副作用のないマラリアの治療、予防に発展するものと期待されます。

 当社は地球規模の課題であるマラリア克服に向けて ALA 研究の発展に一層努力してまいります。また、ALA の研究成果と最新情報は、ALAplus 研究所(URL:http://www.ala-plus.jp/)からも発信してまいります。

用語解説
※1  体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸。ヘムやチトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与するタンパク質の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。ALA は、焼酎粕や赤ワイン、かいわれ大根等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。

※2 マラリアは複雑な生活環を持ち、ハマダラ蚊を介して感染し最初に肝臓で生育しますが、肝臓細胞を破壊して血中に放出され、赤血球に入り赤血球中のヘモグロビンを餌に生育します。赤血球内での生育は輪状体(リングステージ),栄養体(トロポゾイドステージ),分裂体(シゾンステージ)、と進み、やがて赤血球を破壊して娘虫体(メロゾイト)が再度血液中に放出されます。この時高熱などのマラリア特有の症状が発生します。つまり、赤血球感染初期のリングステージで生育を止められればマラリアの症状を抑えられると期待されます。

※3 ヘムは動植物を問わず高等生物に必須の化合物ですが、進化の過程に関連して細胞内のオルガネラ(組織)で分業されて生産されます。例えば動物ではヘム合成の出発物質である ALA はミトコンドリアで作られますが、その後細胞質に移動してポルフィリンに代謝し、再度ミトコンドリアに戻りヘムとなります。植物では ALA は葉緑体で作られ葉緑体内でポルフィリンに代謝した後、ミトコンドリアに運ばれてヘムに代謝されるものと考えられています。しかし葉緑体内で働くヘムについてどこで合成されるかは解明されていません。マラリアは植物と動物の中間に位置する特殊な生物と考えられており、そのヘム代謝は進化の過程にも関係して興味が持たれ、現在盛んに研究されています。 ※4 マラリアには他の原虫には見られないアピコプラストと言う特殊なオルガネラ(器官)があり、その起源は葉緑体ではないかと考えられています。

以上

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本プレスリリースに関するお問い合わせ先:
SBIアラプロモ株式会社    経営企画部 03-6229-0095

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